エンダイブ、一部の地域ではチコリとも呼ばれるこの野菜は、日本ではまだ一般的ではないかもしれませんが、実はヨーロッパをはじめとする多くの地域で愛されている野菜です。白菜に似た外見を持ち、独特の苦味が特徴です。
多くの人がその苦味から敬遠するかもしれませんが、その栄養価の高さや多彩な調理法を知ると、エンダイブが家庭の食卓に欠かせない存在になることでしょう。
エンダイブは、キク科に属する多年草で、原産地は地中海沿岸およびヨーロッパです。古代ローマ時代からハーブとしても価値があるとされ、多用途で利用されてきました。
この野菜は、軟白栽培(日光を遮って栽培する方法)によって、美しい白色を帯び、苦味も和らぎます。この栽培方法は、日本のもやしなどにも見られる技術です。特に「ラディッキオ」と呼ばれる品種は、赤く色づく葉が特徴的で、イタリアでは高級食材として扱われています。
エンダイブの最も美味しい季節は冬で、12月から春先にかけてが旬とされています。日本国内ではこれに加えて輸入されることもあります。
【栄養価と健康効果】
エンダイブにはカリウムや食物繊維が豊富に含まれており、特に注目すべき成分に「イヌリン」があります。イヌリンは水溶性の食物繊維で、腸内環境の改善や血糖値の調整に効果があるとされています。また、肝機能のサポートをするチコリ酸や、抗酸化作用のあるタンニンも含まれています。これらの成分は、エンダイブの苦味のもとでありながら、美肌やアンチエイジングにも役立つとされています。
【エンダイブのおすすめレシピ】
エンダイブはサラダの具材として利用するのが一般的です。シャキシャキとした食感と苦味が、ドレッシングと組み合わさることで一層引き立ちます。また、ボートサラダとして、エンダイブの葉を小舟のようにしてその中にサラダを盛り付けると、見た目も楽しい一品になります。
加熱調理もエンダイブの苦味を引き立てる素晴らしい方法です。コンソメで煮る、ソテーにするなど、様々な方法でその味わいを楽しむことができます。また、ゴルゴンゾーラチーズと組み合わせたリゾットは、イタリアの伝統的な料理法で、エンダイブの苦味とチーズのクリーミーな味わいが絶妙にマッチします。
さらに、エンダイブの根を焙煎してコーヒーの代用品として使うこともあります。ベトナムコーヒーや特定のハーブティーに使われることもあり、そのユニークな風味は飲料にも新たな味わいを加えます。
家庭でのエンダイブの活用を始めることで、料理のレパートリーが広がるだけでなく、健康にも寄与することでしょう。この魅力的な野菜を日常の食生活に取り入れ、その多様な利用法を楽しんでみてはいかがでしょうか。
エンダイブは四季を通じて多様な料理で活躍する野菜です。ここでは、春夏秋冬ごとに適したエンダイブのレシピをそれぞれ紹介し、最後にオールシーズン楽しめる一品を加えます。
春:エンダイブと春野菜のフレッシュサラダ
材料:
- エンダイブ 1株
- 新玉ねぎ 1個
- スナップエンドウ 適量
- ラディッシュ 5個
- フレンチドレッシング 適量
作り方:
- エンダイブは手で食べやすいサイズにちぎり、水でさっと洗って水気を切る。
- 新玉ねぎは薄切りにし、スナップエンドウは塩茹でして冷ます。
- ラディッシュは薄切りにする。
- 全ての材料をボウルに入れ、フレンチドレッシングで和える。
- 冷やしてからお皿に盛り付ける。
夏:エンダイブとサーモンのマリネ
材料:
- エンダイブ 1株
- 生サーモン 200g
- オリーブオイル 大さじ3
- レモン汁 大さじ2
- 塩・こしょう 少々
- ディル 適量
作り方:
- エンダイブは手でちぎり、水洗い後、水気をよく切る。
- 生サーモンは食べやすい大きさに切り、塩とこしょうで下味をつける。
- ボウルにオリーブオイル、レモン汁、刻んだディルを混ぜ、マリネ液を作る。
- エンダイブとサーモンをマリネ液に漬け込み、冷蔵庫で1時間ほど冷やす。
- 冷やしたマリネを器に盛り付け、フレッシュディルを添えて完成。
秋:エンダイブとキノコのアヒージョ
材料:
- エンダイブ 1株
- しいたけ 4個
- えのきだけ 1袋
- オリーブオイル 100ml
- にんにく 2片
- 唐辛子 1本
- 塩 少々
作り方:
- エンダイブは根元を少し切り、葉を一枚一枚剥がす。
- しいたけは薄切り、えのきだけは根元を切り落とし、ほぐす。
- フライパンにオリーブオイルとみじん切りにしたにんにく、唐辛子を入れて熱する。
- 香りが出たらキノコを加え、塩で味を調えながら炒める。
- キノコがしんなりしたら、エンダイブを加えてさっと炒め合わせる。
- 熱々の状態でバゲットと共に提供する。
冬:エンダイブのクリーム煮
材料:
- エンダイブ 2株
- バター 30g
- 小麦粉 大さじ2
- 牛乳 500ml
- ナツメグ 少々
- 塩・こしょう 少々
作り方:
- エンダイブは縦半分に切り、バターで軽く炒める。
- 小麦粉をふりかけ、軽く炒めた後、牛乳を少しずつ加えながらとろみをつける。
- 塩、こしょう、ナツメグで味を整える。
- 弱火で10分程度煮込み、エンダイブが柔らかくなるまで煮る。
- クリーミーなソースが絡んだエンダイブを温かく提供する。
オールシーズン:エンダイブのピクルス
材料:
- エンダイブ 2株
- 酢 200ml
- 砂糖 大さじ3
- 塩 小さじ1
- 水 200ml
- ローリエ 1枚
- 黒こしょう 適量
作り方:
- エンダイブは根元を切り落とし、適当な大きさに切る。
- 酢、水、砂糖、塩を鍋に入れ、沸騰させる。
- 沸騰したらエンダイブとローリエ、黒こしょうを加え、火を止めて冷まし、ピクルス液に漬ける。
- 冷蔵庫で一晩漬け込み、味がなじんだら完成。